アレウツカヤの午後

日常の中のロシアについての雑記、他

ベルギー奇想の系譜展

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中世末期にオランダで生まれた画家ヒエロニムス・ボスの絵画は奇妙な魅力がある。今年7月にBunkamuraザ・ミュージアムで開催される「ベルギー奇想の系譜展」が気になっている。そのポスターに使われているのはボスの「トゥヌグダルスの幻視」だ。中央に巨大な人の顔と桶が描かれ、その周囲にヘビに巻き付かれる人、槍で刺される人、首を切られたり毒を飲まされる人、燃え盛る建物で焼かれる人々が見える。天使に導かれた騎士トゥヌクダルスが地獄で苦しむ魂を見ている場面で、罪人を罰するのは獣や怪物や悪霊だ。壮絶なイメージだがグロテスクになりすぎないのは丸っこいフォルムを多用しているのと色使いの鮮やかさのせいかもしれない。

こんな絵を描くボスはさぞ強烈な個性と奇抜な思想の持ち主だったのだろうと想像してしまうが敬虔なキリスト教徒だったそうだ。中世末期のオランダ生まれ、レオナルド・ダ・ヴィンチとは同世代。祖父、父、叔父、兄も画家で幼いころから芸術に触れていた人だ。スペインのフェリペ2世も彼の絵のコレクターだったというから当時からその価値が認められていたのだろう。
彼の作品は宗教画というにはあまりに個性的で幻想的だ。まさに「奇想」という表現がふさわしい。


Bunkamuraザ・ミュージアム「ベルギー奇想の系譜」紹介動画