アレウツカヤの午後

日常の中のロシアについての雑記、他

ロシアの幻想画家

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いつだったか『シーラという子』をはじめトリイ・ヘイデンのノンフィクションシリーズが本屋の平台にズラリと並んだことがあった。不気味な怪物が描かれた表紙が印象的で、妙に好奇心をそそられたものだ。大竹茂夫という日本人画家の作品だが、それに似た幻想的な絵を描く画家がロシアにいる。ボリス・インドリコフ(Борис Индриков)1967年レニングラードサンクトペテルブルク)生まれ。1991年からの7年間、本の挿絵を描き「科学と生活」誌のイラストレーターでもあった。1998年からはロシア作家連合およびユネスコ国際作家連合のメンバーとなりロシア国内を中心に外国でも絵を展示している。2013年にはアートフェア東京にも出展した。

「絵画とは並行世界への扉である。すべてが違う世界。異なる法則、異なる線と形の。これが私の世界。きっと私はそこから来て、そこへ帰るのだろう。」とボリス・インドリコフは自身のホームページで語っている。彼がひらく”扉”の向こうでは渦や縞模様、アール・ヌーヴォーチックな曲線がうまく調和し、世界を形づくっている。踊るようなポットのシリーズ、蝶のシリーズもユニークだが古代の自転車をモチーフにした連作が特におもしろい。中世の貴族の肖像、ゴッホゴーギャンの絵が自転車の形になっているのだ。この自転車のシリーズで「12世紀に建てられたガイヤール城の敷地内から二輪車の遺物が出土した」と偽の記事まで作っているのも芸術家のユーモアを感じる。

彼の絵は個人所蔵のほかモスクワにあるD`Vaskoというギャラリーにもあるらしい。(これだろうか)ロシアでも日本でも次のチャンスがあればぜひ見たいものだ。



художник Борис Индриков


INDRIKPROCESS


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Борис Индриков / Великие велики | Велосипед