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アレウツカヤの午後

日常の中のロシアについての雑記、他

ベルギー奇想の系譜展

www.bunkamura.co.jp

中世末期にオランダで生まれた画家ヒエロニムス・ボスの絵画は奇妙な魅力がある。今年7月にBunkamuraザ・ミュージアムで開催される「ベルギー奇想の系譜展」が気になっている。そのポスターに使われているのはボスの「トゥヌグダルスの幻視」だ。中央に巨大な人の顔と桶が描かれ、その周囲にヘビに巻き付かれる人、槍で刺される人、首を切られたり毒を飲まされる人、燃え盛る建物で焼かれる人々が見える。天使に導かれた騎士トゥヌクダルスが地獄で苦しむ魂を見ている場面で、罪人を罰するのは獣や怪物や悪霊だ。壮絶なイメージだがグロテスクになりすぎないのは丸っこいフォルムを多用しているのと色使いの鮮やかさのせいかもしれない。

こんな絵を描くボスはさぞ強烈な個性と奇抜な思想の持ち主だったのだろうと想像してしまうが敬虔なキリスト教徒だったそうだ。中世末期のオランダ生まれ、レオナルド・ダ・ヴィンチとは同世代。祖父、父、叔父、兄も画家で幼いころから芸術に触れていた人だ。スペインのフェリペ2世も彼の絵のコレクターだったというから当時からその価値が認められていたのだろう。
彼の作品は宗教画というにはあまりに個性的で幻想的だ。まさに「奇想」という表現がふさわしい。


Bunkamuraザ・ミュージアム「ベルギー奇想の系譜」紹介動画

ロシアの幻想画家

figgery.com.ua

いつだったか『シーラという子』をはじめトリイ・ヘイデンのノンフィクションシリーズが本屋の平台にズラリと並んだことがあった。不気味な怪物が描かれた表紙が印象的で、妙に好奇心をそそられたものだ。大竹茂夫という日本人画家の作品だが、それに似た幻想的な絵を描く画家がロシアにいる。ボリス・インドリコフ(Борис Индриков)1967年レニングラードサンクトペテルブルク)生まれ。1991年からの7年間、本の挿絵を描き「科学と生活」誌のイラストレーターでもあった。1998年からはロシア作家連合およびユネスコ国際作家連合のメンバーとなりロシア国内を中心に外国でも絵を展示している。2013年にはアートフェア東京にも出展した。

「絵画とは並行世界への扉である。すべてが違う世界。異なる法則、異なる線と形の。これが私の世界。きっと私はそこから来て、そこへ帰るのだろう。」とボリス・インドリコフは自身のホームページで語っている。彼がひらく”扉”の向こうでは渦や縞模様、アール・ヌーヴォーチックな曲線がうまく調和し、世界を形づくっている。踊るようなポットのシリーズ、蝶のシリーズもユニークだが古代の自転車をモチーフにした連作が特におもしろい。中世の貴族の肖像、ゴッホゴーギャンの絵が自転車の形になっているのだ。この自転車のシリーズで「12世紀に建てられたガイヤール城の敷地内から二輪車の遺物が出土した」と偽の記事まで作っているのも芸術家のユーモアを感じる。

彼の絵は個人所蔵のほかモスクワにあるD`Vaskoというギャラリーにもあるらしい。(これだろうか)ロシアでも日本でも次のチャンスがあればぜひ見たいものだ。



художник Борис Индриков


INDRIKPROCESS


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Борис Индриков / Великие велики | Велосипед